2011-02マンデチュー中流域・地すべり地形調査報告

メンバー
日本側:佐藤剛(帝京平成大)・縫村崇行・永井裕人(名大)
ブータン側:Tshering Penjore (DGM)

主な調査・研修内容
屋内研修ではArcGISおよびGoogle Earthで表示される衛星画像を用いて、モンデチュ本流沿いに分布する地すべり地形を抽出するとともに抽出した地すべり地形を表示した地すべり地形分布図の作成を行った。現地調査では、作成した地すべり地形分布図の整合性を確認するとともに、地すべり活動にともなう擁壁の変位量を計測した。さらに、GLOF災害の保全対象となる橋梁や河川に隣接する家屋付近の地形測量をレーザー距離計を用いて実施した。

成果・結果概要

屋内研修では、ArcGISおよびGoogle Earthを用いた地すべり地形の抽出方法と地図表現をカウンターパートであるTshering Penjore氏(DGM)と共有した。また、現地調査では、擁壁や道路の変位量および変位方向から地すべり活動を把握する技術をカウンターパートに移転した。さらに、GLOFによる被災の可能性が高いと思われる橋梁および家屋の存在を確認し、危険性評価に用いる定量的な地形測量データを得た。

ブータン側への協力成果・カウンターパートへの技術移転

GIS研修:カウンターパートは、GIS上で地すべり地形の抽出が独自に可能となった。また、Google Earth上に地すべり地形分布を表現することも可能となった。
現地調査:活動的な地すべりの地形計測とGLOFによる居住エリアの危険性を定量評価するための手法を共有した。

印象などその他コメント

容易に操作できる無料ソフトウェアであり、精細な衛星画像を使用しているGoogle Earthは、地すべり地形の抽出および地すべり地形分布を表現する上で極めて有用である。また、技術移転や電子ファイルを通した情報の共有が容易であり、災害対策を構築するうえで有用なツールである。ブータン国の総合的な防災計画を構築するうえでも活用が望まれる。


GISで作成した地すべり分布図(クリックすると拡大)